経団連会長の真意は?「就活ルール廃止」が及ぼす影響

経団連会長の真意は?「就活ルール廃止」が及ぼす影響

経団連トップが就活ルールについて言及し、日本の経済界や政治の世界を大きく揺るがせました。今回は、この世間を二分した「就活ルール廃止」について話していきたいと思います。

就活ルール廃止について

今回言及された就活ルールについて知らない方もいると思うので、ここでお話したいと思います。大事なところなのでしっかりと読んでもらいたいです。なぜ廃止したいと言及したのか?その理由に迫ります。

就活ルールとは?

約1週間前の2018年9月3日、日本経済団体連合会・・・通称経団連の中西宏明会長が「就活ルールの廃止」について言及したのです!その内容とは、「経団連が決めた日程の中で企業 が学生の一括採用をすることに疑問で、自由に採用されるべきでは?」というものでした。
その時、日本中に激震が走りました・・・。
それも当然の話で、戦後から続いてきた新卒一括採用という伝統的な「就活ルール」に遂に経団連トップがメスをいれたのです。経済界や首相でさえ、「な、な、なんだって~!?」状態になったに違いありません。

なぜ、「新卒一括採用」廃止に言及したのか?

最も有力なのは、就活ルールの「形骸化」だと思われます。新卒一括採用という就活ルールにおいて、経団連に加盟している企業の多くは2,3月ごろに説明会、4月からエントリー開始の6月選考開始というイメージで採用活動をしています。だが、近頃IT企業やベンチャーを中心にそのルールは形骸化しつつあるという現状があります。インターンなどを通して、学生を青田買いして囲い込むのです。実際、大学生も就活は「インターンから」という考えで動く人が多いように見受けられます。

新卒一括採用、廃止するとどうなる?

学業が疎かになる

安倍首相は今回の新卒一括採用に関する就活ルールの廃止について苦言を呈しています。その理由としては、「学生は学業が本分であり通年採用は学業が疎かになる危険性がある。」だそうです。大学生の中にも、「通年採用となってしまうと常に就活について考えなければならず、授業や卒論について集中できなくなってしまう。」「第一そんな時間が取れない。」なんて意見もあるぐらいです。

私も大学生だったから、この気持ちはわかりますよ。極めて真面目な大学生にとっては普通に授業を受けていれば、日中ほとんど暇がないです。理系なんか特にそうでしょう。授業で実験、理論を学び、家に帰ればレポートに追われる日々。正直、就活なんかやっていられないだろうなぁと思いますね。

企業のコストがかかる

ご存知かと思うが企業にも採用目標数字があり、コストもかかります。通年採用でダラダラと続けていれば、それだけコストがかかり企業への負担を強いられてしまう。企業としてもより有能な人材と出会わないといけないため常に人事部がドタバタしている状態。大変そうですね・・・。しっかりと腰を据えて採用活動したほうが重点的に学生を採用できるので、企業としてもそちらが嬉しいのでは?と思ったりします。

それでも廃止すべき理由

廃止した時のデメリットやコストは痛いほどわかります。ただ、新卒一括採用が生まれたのは大正時代から戦後にかけてです。正直、市場変化が激しい現代社会において新卒一括採用というルールありきの考え方は時代錯誤であると言わざるを得ないというのが現実です。その理由について考えていきたいと思います。

企業の市場競争が激しくなる


通年採用をするべき理由1つ目は、企業の競争激化です。採用力が長期化するため、採用力がない企業は不利という話をしたが、正直そこまで重要ではないと思います。

採用力がない企業は、結局の所魅力がない企業に等しい。採用力が弱い企業は市場原理に淘汰されていくだけでしょう。アメリカのGoogleなどは青田買いをするような動きを見せています。これからの社会を生き抜くためには、有能な人材を早期発見し囲い込むことが重要になってくるでしょう。

転職などの雇用流動化が促進される

採用活動は新卒だけとなると、中途採用市場がなかなか活性化しません。これだけ激しい市場変化の中で、自分にあった職探しのための中途採用ができないのは非常に痛い話です。ITは有能な人材は流動的に職を転々とすることが多く、転職は一般的になりつつあります。
どんどん新しいサービスが生まれては無くなっていく中で一つの企業にいる終身雇用は時代遅れで、転職サービスは成長を続けています。エン転職や、dodaなどといったサイトは、聞いたことがないくらい有名でしょう。それほど中途採用・転職が幅をきかせている中で、新卒一括採用はどうなの?という話です。

自分に合った企業を精査できる

学生側のメリットだが、通年採用であるということはその分「自分にあった企業を探すことができる」というわけです。大学は学問の府で就活大学ではないと聞くのだが、アメリカは通年採用を取っています。それでもアメリカは就活大学とはなっておらず、問題となっていないのです。その理由はアメリカでは終身雇用という制度がないため、先程言った雇用の流動性があり通年採用ができるようになっているからです。そのため即戦力が求められるため、インターンなどを通して学生はしっかりと自分にあった企業を探すことができるのです。

学業が疎かになるというウソ

通年採用を取ることで、雇用が流動化します。そうなると企業としては、即戦力になる学生が欲しくなるものです。そのため学歴というのが非常に重要になってきます。例えば、資格などはもちろんのことGoogleといった外資系企業では募集要項にPhDといった学歴フィルターがかかっていたりします。ときには、MBAを所持することすら求められるときもあると聞きます。

即戦力が求められるようになる通年採用は、大学での学業というのが逆に重視されるようになるため、学生は学業に精を出さざるを得ないというわけです。自分の研究などを売り込むようになるのだろうと思います。

 

まとめ

新卒一括採用に関する就活ルールの廃止の言及は世間を大きく揺るがせました。しかし、このメスは大きな一歩であると言わざるを得ません。日本の古き雇用慣行が廃れつつあるなか、それにつながる採用も今大きな変化を求められていることは確かです。グローバル化していく社会の中で企業としても、採用活動を変化せざるを得ません。ただ制度化するにはまだまだ足りない要素が多いと思われます。大きく舵を切った企業に続いて、続々と変革が行われることを期待します。働き方改革が話題になっている今がチャンスです。

この記事を書いた人

このライターの記事