サラリーマン大家さんの不動産投資に赤信号~スルガ銀行・TATERU不正融資事件の影響

サラリーマン大家さんの不動産投資に赤信号~スルガ銀行・TATERU不正融資事件の影響

画像:TATERU「衝撃の」日足チャート

スルガ銀行・TATERUと次々に不正融資のニュースが流れ、不透明さが増す「不動産投資」。近年サラリーマン大家さんが流行し、多くのサラリーマンがこうした不正融資の被害者になっていると考えられます。今回は、なぜこうした不正融資事件が頻発したのか、事件の背景を探っていきたいと思います。
また、今後不動産投資はどのようになっていくのか?サラリーマン大家さんがとるべき方策についても併せて考えていきたいと思います。

投資家必見!スルガ銀行・TATERU不正融資の背景

東証一部上場企業であるスルガ銀行・TATERUと立て続けに不動産関連での不正融資が発覚しています。当記事では各事件の細部ではなく、過熱する不動産投資と不正融資の背景に絞って考察していきたいと思います。

スルガ銀行・TATERU不正融資の共通点

両不正融資事件には共通点があります。それは、スルガ銀行(銀行)+スマートデイズ(不動産企業)、TATERU(不動産企業)+西京銀行(銀行)というように、不動産企業と銀行がタッグを組むことで起こした事件であるということです。
サラリーマン大家さんという言葉が流行語になるくらい、不動産投資が流行していました。「サラリーマン大家さん」という言葉からお分かりいただけると思いますが、今回の不動産投資の主体はお金持ちや土地持ちといった従来の不動産投資層ではなく、普通のサラリーマンだという点がポイントになっています。

被害者はサラリーマン大家さん

銀行はアベノミクスでじゃぶじゃぶになった資産を貸す相手がいませんでした。そこで新たに融資する対象として「サラリーマン」をターゲットにしたと思われます。
この兆候はリーマンショックあたりから顕著になっていました。銀行は不況で事業が安定せず返済のめどが立ちにくい企業から、個人への住宅ローンに貸し付けの対象の主力を移していました。この流れが住宅ローンから不動産投資ローンへとつながったものと考えられます。ですから、両社の被害者の多くは個人の不動産投資家である、サラリーマン大家さんになってしまったものと推測されます。

今回の不正融資事件の背景はアベノミクスによって金余りになった金融機関が安全な融資先としてサラリーマンを狙ったことに端を発していると考えられます。

不正融資事件の影響

見てきたように、事件の背景がアベノミクスによる金余りだとすれば、スルガ銀行・TATERUの不正融資事件は「氷山の一角」でしかないということになります。今後事件の影響がどのように拡大していくリスクがあるのかを考えていきましょう。

不正融資事件が連続して発覚する

事件の背景が銀行の金余りになるのであれば、スルガ銀行(銀行)+スマートデイズ(不動産企業)、TATERU(不動産企業)+西京銀行(銀行)の2ペアだけではなく、もっと多くの不動産企業+銀行に広がることが容易に推測されます。

不動産価格が事件の影響で下落

ポツポツと先発隊が出ていることからもお分かりいただけますが、家賃収入がストップしたことで住宅ローンの支払ができなくなった層が不動産物件を安値で売却しています。この流れが拡大した場合、不動産物件全体へ悪影響が出ることが考えられます。

最悪の場合、破たんする銀行が出ることも!?

銀行の破たんは影響が1行にとどまらず、バブル後のように連鎖する可能性があります。こうした場合、アベノミクス導入で順調に推移してきた日経平均株価にも大きな影響を与えかねません。

サラリーマン大家さんがとるべき方策

スルガ銀行・TATERUの不正融資事件は今後尾を引く可能性があることが分かりました。そうした場合、サラリーマン大家さんはどういった対策をとるべきでしょうか。

トータルで利益が出ている場合

不動産投資額がトータルで利益が出ている場合、事件の詳細が取りざたされないうちに一旦売却することも視野に入れていきましょう。特に気を付けるべき投資者層は利益がプラスマイナスゼロ圏の投資者層になります。「まだ利益が出ていないから」と判断を先延ばしにしているうちに物件価格が暴落するリスクもあります。

トータルで利益が出ていない場合

投資資金に余裕があるならば、不動産価格の戻りをまって再考することができます。しかし今回ターゲットになったサラリーマン大家さん層は、不動産投資ローンを組まされているケースが多数派です。
今回の事件の問題点は「レバレッジ」にあります。自己資本がゼロ円でも不動産投資することができるが売りになっているのはご存知でしょうか?今回の問題の肝はサラリーマンの信用情報を使ったレバレッジが問題になっているのです。ですから、「家賃の回収ができなくなる=破産」の図式になってしまっていることが特徴になっています。
自己資金では支払いきれない場合は早期撤退し、破産のリスクを逃れることも視野に入れていきましょう。

不動産投資の未来とは?~個人投資家が気を付けるべきこと

今回のスルガ銀行・TATERUの不正融資事件では被害者が一般の普通のサラリーマンであることがお分かりいただけたかと思います。ではこの事件を受けて、今後不動産投資を考えている投資家層はどのようなことに気をつければよいのでしょうか。

レバレッジをかけない

投資家歴10年以上の筆者が断言します。株式・FX・不動産…どの投資商品でも「レバレッジ」を賭けるから破たんしてしまうのです。レバレッジをかけなければ物理的に「破産」することはないことを頭に叩き込みましょう。

しばらく不動産株と銀行株を買うのは控える

事件の影響がどこまで拡大するかわからない状況です。銀行&不動産銘柄の売買は控えるようにしましょう。

まとめ

今回は、なぜこうした不正融資事件が頻発したのか、事件の背景を探ってきました。事件の背景がアベノミクスによる金余りから来ているとしたら、事件は2社にとどまらない可能性もあります。
暫く不動産投資に関しては積極的に参加せずに、慎重に見守ることにしましょう。

この記事を書いた人

本業は専業トレーダー。テクニカルをこよなく愛すテクニカルトレーダーです。お金に不自由しない星の下に生まれたラッキーレディー。

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