RPAって何?労働者不足を解消するの?

RPAって何?労働者不足を解消するの?

よく行く銭湯があるのですが、9月30日に閉店になりました。仮眠室や食事処まであって、通常の銭湯価格という驚きの設定で人気がありました。閉店の理由はよくわかりませんが、食事処が閉鎖したことが以前あったんですね。人手不足で、定食を作れる人がいなかったわけです。

今回の銭湯のように、現在の日本では少子高齢化などが原因で、労働者不足に拍車がかかっています。そんな状況下で日本が熱心なのがRPA(Robotic Process Automation)です。「2020年代は、AIが導入されてRPAが今より活発化、イノベーションにより働き方改革がますます行なわれるであろう」なんて聞くと、頭がくらくらします。

RPAという言葉が横行する原因「働き方改革」

RPAがやたら目立つのは、やはり働き方改革のせいでしょう。「改革」とか「革命」とかって聞くと、胸がときめきますよね。

昔江夏豊投手という凄いピッチャーがいました。ノムさん(野村克也氏)が南海という球団にいた頃に、「日本で最初の抑え投手になって、野球界に革命を起こそうや」と言ったそうです。江夏さんは「革命」という言葉にピピーっと来て、先発投手を捨て、抑え投手になりました。野球に詳しくない人は訳がわからないかもしれませんが、「革命」や「改革」という言葉には人を動かすパワーがあるんですね。

で、働き方改革です。一生懸命働いても、そんな簡単に生産性が上がるわけがないんです。1日24時間しかありません。そのうち仕事にかけられる時間は限られています。100mを一所懸命走ったところで、9秒台です。人間には、能力の限界というものがあります。では、どうすればいいのか。機械に頼ろうということになります。

RPAと横文字にすると訳がわかりませんが、要はロボットでもできそうな単純な仕事を、人の代わりにやらせようということです。

RPAのどこが革命的なのか

RPAは、むしろ革命的でもなんでもありません。昔からロボットにできることは、ロボットにやらせていたわけです。

社会見学にパン工場に行ったことがありますか。ベルトコンベアーの上をパンが移動し、白い服を着た作業員が仕事をしていますよね。ベルトコンベアーとかまさに自動化ですよね。昔からやっていたわけです。では、なぜ今になってみんな騒ぐのか?(いや「ダイヤモンド」や「週刊東洋経済」が好きな読者だけか……)。

それはホワイトカラーの仕事が、機械に任せられるからです。

パン工場の話は、ブルーカラーの話ですよね。昔カール・マルクスというドイツ人の哲学者が、労働者(ブルーカラー)は経営者に搾取されている!だから革命だ!といったそうです。本当に、革命という言葉には魔法の力がありますよね。マルクスの思想は受け継がれ、共産主義国の中国は、世界第二位のGDPの国に成長しましたからね。いやマルクスの話はどうでもいいのですが、ブルーカラーというのはスキルや賃金が低いわけですよ。

一方ホワイトカラーは、一軒家をもち、車をもって、時々海外旅行に行き……、と今時そんなに優雅に生活できるのかわかりませんが、とにかくスキルや賃金の高い仕事と見られていたのです。それが、あっさりロボット如きに仕事が奪われるなんて……。悔しいですよね。「ダイヤモンド」や「週刊東洋経済」の好きな読者(私もです)には、ピピーっとくるわけですね。とくに働き方「改革」というマジックワードともあいまって。

で、結局RPAって何なの?

クラウドワークスとかランサーズといったアウトソーシングのサイトでは、いろいろな仕事を募集しています。

私もよく見るのですが、「画像に書いてある文字をテキストに変えてください」なんて仕事があります。私はタイピングがそんなに早くありませんので、そういう仕事ができる人がうらやましいです。ともかく、タイピングの遅い私にとっては厄介な仕事なんですが、これなんかRPAが得意とすることです。

OCRってありますよね。画像から文字を読み取り、テキストにしてくれるシステムです。これ使えば、あっという間に実現できるわけですね。それも、人が全く介入することなく。これがRPAの本質です。

「所詮アウトソーシングの話じゃん!」と思うかもしれないですが、侮ることなかれ。こんな自動化可能な作業が山ほどあります。あなたも心当たりがあるでしょう。「コピー取りなんてなんでしなくちゃいけないんだよ!」とかですね。無駄を減らして、人はもっと有意義なことに時間を使いましょうということです。

AIとの違いは?

ここで気になるのが、AI(人工知能)です。AIも人から職業を奪うのではと、ビクビクする人もいるでしょう。1日中AIが仕事をして、人はのんびりと家で過ごすとなればそれこそ革命的です(もちろん仕事をしなくても収入が入るという前提ですが)。

AIにもいろいろありますが、たくさんあるデータから規則を見出すのが特徴です。設置カメラの映像から犯人かそうでないかを判断するとか、そういうのがAIですね。他方RPAというのは、単純作業をまとめて機械にやらせましょうって話です。本屋で「できるビジネスパーソンは無駄な作業をEXCELで自動化」みたいな本があるじゃないですか。あれが、RPAのイメージです。

いちいちディスプレイや資料見ながらキーボード入力して……と繰り返すと膨大な時間がかかるものの、RPAを活用すると瞬時に終わります。あとは企画を考えたり、営業したりと人間しかできないことに作業を集中すればいいわけですね。

もちろんAIをRPAに活用して、複雑な作業も自動化する試みもされています。しかしそれはまた別の話。自動車の自動運転が世間をにぎわせますが、死亡事故を引き起こしたりと、人に取って代わるには時間がかかりそうです。

その点、RPAですとそこまで難しいシステムが必要ありませんので、システムを導入すれば窓際のオジサンサラリーマンは「明日からもう来なくていいよ」と会社からリストラ宣告されるかもしれません(笑)

まとめ

RPAというのは、労働者不足を補う救世主として脚光を浴びているわけですね。

AIは労働者不足の問題解消というよりは、職を奪うかもしれないという危機感を煽るものでしたが、RPAのほうは「面倒な仕事をロボットにやらせて有意義に時間を活用しよう」という願ったりかなったりのシステムです。もっとも、本当に単純作業しかしていない窓際族の皆さんはクビになるかもしれませんが(汗)

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