参考:ダウ日足チャート
ダウが2日間でおよそ1,300ドルも下落しました。こういった暴落は上記のダウの株価推移をみてもわかるようにここ半年にはない下げ幅です。ダウの暴落を受けて、アメリカのトランプ大統領もコメントを発表しています。
今回はなぜダウが下げたのかまず原因を究明し、その後今後のダウはどのように推移していくのかを考えていきたいと思います。
ダウ暴落の現状
10月10日
ダウ平均は831.83ドル安の25598.74ドルに暴落しました。831.83ドルもの下げ幅は、ダウ史上3番目の下げ幅です。この暴落を受け、米ホワイトハウスでは即日「経済のファンダメンタルズは依然として強く、景気の見通しは明るい」との声明を発表しています。
また「私が問題視するのは連邦準備制度だ。彼らは正気を失い、金利を上げている。ばかげたことだ」*とトランプ大統領はFRB(連邦準備制度理事会)を名指しで暴落の要因として非難しています。
*参考:ブルームバーグ
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-11/PGF62X6TTDS201
10月11日
ダウ平均は前日比545.91ドル安の25,052.83ドルと続落しました。10・11日2日間で1377ドルも下落しています。
ダウ暴落の原因
史上3番目の下げ幅とさながらリーマン級の下げ方をするダウ。なぜダウは急落したのでしょうか?原因を探っていきたいと思います。
中国との通商協議停滞
10日ムニューシン財務長官が人民元の下落について中国政府による為替操作を調査する方針を示しました。この発言を受けて米中関係が悪化するとの懸念が広がり売りが先行したことがダウ暴落の要因になっていることは否めません。
なお、トランプ大統領は10日夜のFOXニュースとの電話インタビューで、「相場急落はトランプ政権と中国との通商対立が理由ではない」と言明しています*。
しかし、中国比率の高いボーイング(BA)やキャタピラー(CAT)の株価推移をみる限り、影響がないとは考えにくい状況といえましょう。
*参考:ブルームバーグ
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-10-11/PGF62X6TTDS201
長期金利の上昇
参考:アメリカ国債10年月足チャート
長期金利ですが上記のようにちょうど「節抜け」をして元気よくあげていることが分かります。一般的に長期金利の上昇は株価の下落要因といわれていますので、この節抜けから利確が先行したことが暴落要因にあげられます。
トランプ大統領がFRB(連邦準備制度理事会)を名指しでダウ暴落の要因として非難しているのは、利上げが長期金利の上昇の要因となることを懸念してのことであると考えられます。
シアーズ・ホールディングス(SHLD)
ダウが暴落した10日シアーズ・ホールディングス(SHLD) が破産申請の準備を進めていることが明らかになったこともダウ暴落の要因としてあげられます。
バークレイズのアナリスト予測
10日バークレイズのアナリストがツイッター(TWTR)・アルファベット(GOOGL)・アマゾン(AMZN)の決算の不振を予想し軒並み下落したこともダウの暴落を加速させた要因としてあげられます。
「マイケル」のフロリダ上陸
大型ハリケーン「マイケル」がフロリダ州に上陸したことも、ダウ暴落の要因になったと考えられます。10日損害保険のAIG(AIG)やチャブ(CB)は、保険金支払いによる業績悪化懸念から下落していることからもそれは明らかといえましょう。
ダウ暴落の要因はみてきたように複数の下落要因がタイミング悪く一気に集中してしまったことから起こった悲劇であることが分かります。
ダウの今後の価格推移~テクニカルからの考察
暴落したダウですが、この暴落は世界同時株安の「序章」に過ぎない下落なのでしょうか?最初にテクニカル面から今後のダウを考察していきたいと思います。
参考:ダウ週足チャート
ダウの現状
1月 26,616ドル(山ひとつ目)
4月 23,344ドル(ネックライン:矢印)
10月 26,951ドル(山ふたつ目)
テクニカル的には非常に危険な状況といえるかもしれません。現状で即判断できる状況にはありません。いくつかのシナリオがありますので、ケースバイケースで判断していくことになります。
ダウの今後~ケース1 暴落街道へ
4月の23,344ドルを割った場合、週足でWトップが発生することになるので長期にわたり株価は低迷することになります。下落ターゲットは目先17,000ドル前後になると思われます。週足でWトップが発生した場合最低でも1年間~2年間、株価は停滞することになります。
ダウの今後~ケース2 三尊天井形成
Wトップと考えた場合、10月に1月の高値を更新しているので少しいびつな形になってしまいます。ですから、こういったケースでは、一旦落下後、再度反騰し天井を抜かない場合「三尊天井形成」を形成し、長期間株価が停滞する場合が多くみられます。
ダウの今後~ケース3 上昇波動入り
10月高値の26,951ドルを抜いた場合、ダウは再度上昇波動入りすることになります。その場合後になって今回の暴落劇は「秋の押し」だったといわれることになるでしょう。そして一番可能性が高いケースがこれではないかと推測しています。
ダウの今後の価格推移~ファンダメンタルからの考察
アメリカ中間選挙
11月6日にアメリカでは中間選挙が実施されます。トランプ大統領がダウの推移に神経質になっているのはこの選挙対策であると思われます。一般的に選挙が近くなると株価は高く推移する傾向があります。ですから、秋の暴落はよい買い場になる確率が高いと考えます。
アメリカの一人勝ち
世界情勢はアメリカの一人勝ちになっています。今まで買われてきたモメンタム株からバリュー株にシフトして、指数は持ち直すといった可能性のほうが高いのではないでしょうか*?
*参考:ブルームバーグ
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-08-07/PD2N8S6K50XX01
まとめ
いかがでしたか?高確率でこの暴落劇は「買い場」であると推測されます。
テクニカルのポイントにだけ注意を置いて、相場に参加してみるのもありではないでしょうか。